インプラント周囲炎とは

メンテナンス不足からなるインプラント周囲炎とは

インプラントはチタン製の人工歯根なので、虫歯になることはありません。 しかし、歯肉や歯槽骨などの歯周組織は日頃のセルフメンテナンスや歯科での定期的な検査がとても大切です。

汚れが付着したまま放置していると、歯周病と同様にプラークと呼ばれる細菌の塊がインプラントの周囲組織に感染し、さまざまな炎症を引き起こします。

インプラント周囲炎イメージ

これが「インプラント周囲炎」で、歯ぐきの腫れや膿、歯のぐらつきなどの症状が見られるほか、悪化するとインプラントが抜けてしまうこともあります。 歯周病とは異なり、痛みを伴わずに進行することもあるため、悪化するまで気が付かないケースもあります。

予防法は、天然歯と同じように毎日しっかりと歯磨きをすることです。

また当院では術後、1年に2~4回程度の定期検査を行い、インプラントの周囲に炎症は起きていないか、人工の歯(上部構造)が緩くなっていないか、噛み合わせは問題ないかなどをチェックします。

インプラント周囲炎の診断方法

インプラント周囲炎は、プローブ(探針)という器具をインプラント周囲のポケットに挿入し、ポケットの深さや挿入したときの出血や排膿の状態によって診断します。
また、失われた骨の量や動揺度をX線で測定するほか、細菌検査や噛み合わせのチェックなどで病状の進行具合を確認します。

現在、これらの方法でインプラント周囲炎の症状を6段階に分類する「CISTの分類」という診断方法が一般的に採用され、この分類に応じて治療方法も異なってきます。
適切な治療を行うためには正確な診断が必要ですが、上部構造の形が不適切だとプローブによる診断結果に誤差が生じる可能性もあります。
そのため、上部構造を取り外して診断を行うこともあります。

インプラント周囲炎になってしまったら

インプラント周囲炎と診断された場合、その進行具合に応じた適切な対処が必要になってきます。
初期の症状であれば、専門医による口内洗浄や、薬液による歯周ポケット内の殺菌を行います。
症状が進行して骨の吸収にまでいたると、抗生物質の塗布や服用も必要になってきます。さらに症状が重く、骨吸収が深刻な場合には、麻酔をして歯肉を切開し、内部の汚れを取り除くといった外科的処置を行うこともあります。
いずれの場合も、毎日の歯ブラシを徹底することが重要で、しっかりとブラッシングできていないと治療の効果が損なわれてしまいます。

また歯周病と異なり、インプラント周囲炎の場合は治療後も組織がスムーズに回復しないことがあるため、定期的なレントゲン検査を続ける必要があります。
骨が再生しないほど状態が悪い場合、インプラントそのものを摘出することもあります。歯茎の腫れなど、少しでも違和感があれば早めに歯科医の診断を受けるようにしましょう。